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狂気の惑星


 「オルガ 今助けにいくからな…」
  激しい銃撃の中ゴドーは反撃のチャンスをうかがっていた。 オルガが拉致されているマザーコンピューターRIMのある中央塔は目の前なのに…
 「ゴドー、 俺達が突破口を作ります。 そのうちに中央塔へ。  レイナ、 ゴドーのサポートを頼む」
 「分かったわ ロム兄さんまかせて! さぁゴドーさん行きましょう」
 「ありがとう。 オルガ 待ってろよ」 ゴドーはロムが敵をひきつけてるのを見てレイナと共に中央塔に向かって走って行った。

    あれは数日前、 実験惑星B-1付近を航行してたときだった。 この星は過去武器商人が開発した兵器を機械生命体を使って実験してた星で航行途中で知り合ったギャラクシーポリス・清音1級刑事より非常に危険空域なのでB-1付近は航行しないようにと注意を受けていたのだが2772の目撃情報があるのなら行かねばならない、 こちらは最新鋭の猟兵戦艦  索敵を密にしていれば大丈夫だろうとゴドーは考え 2772がいるかも知れない惑星B-1に向かったのだった。
  数回のワープを終え惑星B-1空域に到達したとき突然スペースシャークの船体が振動を起しだし警告音が艦内に鳴り響いた。
 「いったいなにが起こったんじゃ」 驚いてるサルタ博士。
 「ゴドー、 コンピューターガ 制御不能デス コノママデハ B-1ニ墜落シテシマイマス」 オルガが悲鳴のような声でゴドーに言った。
  デタラメな回転で惑星B-1に落下していくスペース・シャーク このままでは本当に惑星B-1に激突し命は無 い。 ゴドーは操縦系統を何とか手動に切り替え船体を立てなおし不時着に成功した。
 「うう…、 なんとか無事に着陸できたか…」
 「ゴドー、 大丈夫?」 オルガが心配そうに駆け寄って来た。
 「オルガありがとう。 ボクは大丈夫だ。 それよりも艦内チェックを」
 「ハイ」
 ゴドーが無事だと分かり嬉しそうな口調で返事をするオルガは艦内のチェックをしはじめた。
 「ゴドー、 博士トピンチョガ重症。 デスガ命ニ危険ハアリマセン。 艦内ノ医療機器デ治療可能デスワ。 アトすぺーす・しゃーくハ船体ニ異常ハアリマセンガ 電装系・えんじん系・通信系ニ深刻ナだめーじガアリマス」
  やはり強引な着陸でかなり負荷がかかったようだ。
 「うーむ、 これは艦内にあるパーツだけでは離陸することも出来ない どうしよう…」
 「…ゴドー、 ココカラ… 約50k付近ニ… 実験施設ノヨウナ建物ガ… アッタワ」
 「なんだって。 でもオルガ どうしてそれを知ってるんだい」
 「…オルガ すぺーす・しゃーくガ… 着陸スルトキ… 偶然… 見タノ」
  このときのオルガの口調は誰かに言わされてるような感じであったがゴドーは気に留めなかった。
 「よし! その施設に行ってみよう。 もしかしたらスペース・シャークを直すパーツと工具があるかもしれない。 オルガ、 そこに案内しておくれ」
 「…ハイ、 …ワカリマシタ」

 ゴドーはサルタ博士とピンチョの看護を任せると オルガと共に実験施設に向かった。 そこは長く使用されてない感じだか妙に綺麗に整えられていていた。
 「うーん、 倉庫はどこにあるんだろう。 ねぇオルガ」
 「…」
 「オルガ? どうしたんだい」
 「…」
  なぜかオルガは返事をせずマネキン人形のようにピンと直立している。  「オルガ!」 ゴドーはオルガを自分の方に向かせた。
 「ゴ…ドー、 ニ・ニ・ゲ・逃ゲテ…テ (ピーッ!) ココハ… キケ・危険・ン・ン・デスゥ〜… ハ・ハ・早・ハ・ヤ… (ビーッ) 早ク・逃ゲテ・テ・テ…」
  オルガは無表情のまま体内にあるスピーカーから電子音声で言った刹那 館内のあちらこちらから無数のコードーやマジックハンドが飛び出しオルガの身体にまとわり付くと人形状態のオルガを引きずりだした。
 「オルガになにをする!」
  ゴドーはレイガンを抜くとオルガにまとわり掴んでいるコードやマジックハンドを的確に破壊していったがその度に新たにマジックハンドやマニュピレーターがオルガを無造作に掴んでいった。  「クソ!これじゃきりがない!」
 その内先端がドリルや突起物の付いたマジックハンドが無数にゴドーに襲い掛かってきた。
 「オルガ 助けられなくてゴメン・・・」
  もはやこれまでと思った瞬間1人の男が飛び込んできた。
 「とうっ! 天空宙心拳 破岩拳!」 目にも止まらぬ速さで繰り出した手刀がマジックハンドを破砕した。 「ここは危ない、 一旦引くんだ。 レイナ!」
 「はい、 ロム兄さん。 さぁ、 こちらへ」
 「しかし、 ボクはオルガを助けないと」
 「ここは体制を整えてからじゃないと危険です。 ここはがまんしてください」
 「くっ…」
 ゴドーはロムとレイナと言う2人(?)の兄妹に助けられ施設から一旦脱出した。

 「あなた方はいったい誰なんですか?」
 「私はクロノス族族長キライ・ストールの遺子 ロム・ストール。 彼女は私の妹レイナです」
  そのロムと言う青年の話によると この惑星B-1のメインコンピューターRIMが宇宙犯罪結社ギャンドラーに改造されB-1付近を通り かかった宇宙船や機械生命体のコンピューターを操り拉致しRIMを拡張させたり破壊兵器の部品にされていてロム達は聖剣・剣狼の導きによりRIMを破壊しギャンドラーの野望を挫くため惑星B-1 にやって来たとか。
 「それなら早く助けに行かないとオルガが…」
 「分かってます。 しかしゴドーの装備ではギャンドラーの妖兵部隊には勝てません。 これを使ってください」
  そう言うとロムはゴドーにパワーライザーと言う一種パワードメカを渡した。
 「これを装着すればヤツとも互角以上に戦えます」
 「ありがとうロム、 これでオルガを助けだせます」
  そう話しているとギャンドラーの妖兵部隊らしき怪機械生命体がやってきた。 どうやらこのロムとギャンドラーは宿敵どうしらしい。
 「ロム兄さん、 ゴドーさんの彼女さんを助けにいきましょう」
 「うむ、 ここは私が敵をひきつけます。 そのうちにオルガさんを」
 「ロム ありがとう!」  
  ゴドーはロムが傭兵部隊を倒してる中レイナと共に中央塔再び潜入した。 館内に入ると再び無数のマジックハンドがゴドー達に襲い掛かっ てきたがパワーライザーを装備したゴドーとロムと同じく天空宙真拳の使い手のレイナの敵ではなく これらを粉砕しRIMのいるメインルームに入った。
 「オルガ!助けにきたぞ」
 「やって来ましたねゴドー」 まるで聖母のような自愛に満ちた声が響いた。 「私は惑星B-1を管理するメインコンピューターRIMです。 あなたの捜してる人形はここですよ」
  そう言うとコンピューターは変形していき その自愛に満ちた声とは逆に禍々しいまるで妖怪のようなロボットになった。 そして顔のような部分の表面が割れるとそこにオルガがいた。 しかしオルガの手足は半解され体中にコードやエネルギーチューブが接続されいた。
 「オ・オルガ、 なんてこった」
 「ひどい」 あまりにも悲惨な状態にレイナは目を覆いゴドーは絶句した。
 「私から見ればこの女は玩具みたいなものですが集積回路としての性能は良いので私の部品として使わせていただきます」
  接続されたチューブがまるで生き物のように動く度 オルガの身体がピクピク動き、 「ア… ア… ア…」 と声が漏れていた。
 「クソ!オルガを返せ!」
  ゴドーが飛び掛ろうとするとRIMはパンチを繰り出した。 ゴドーはギリギリ避けたものの風圧でパワーライザーごと壁に叩き付けられパワーライザーは粉々に粉砕されてしまった。 ゴドーも手足を骨折してしまった。 もしパワーライザーが無かったら即死だっただろう。

  「ううう… 」
  「ゴドーさん、 しっかり」  レイナが駆け寄りゴドーに声をかけるとゴドーも意識を戻した。
 「レイナさん、 ありがとう。 しかしなんてヤツだ…」
 ほどんど抵抗力を失ったゴドー達を見下ろすRIM。
  「なんてもろい生き物なんでしょう。 そんなあなた達が超エネルギー・ハイリビードを求めるのも道理ですね。 でもハイリビードは私の物。 あなた達はここで死になさい」
  そう言ってRIMが足を上げゴドー達を踏み潰そうとしたとき動きが止まった。
  「ゴ… ドー… ゴドーを… 傷ツケルノハ許サナイ…」
  RIMの部品の一部となったオルガが最後の抵抗をしRIMの動きを鈍らせたのだった。
 「たかが人形風情が抵抗しては困りますね」 そう言うとRIMはオルガも頭に新たなコードが接続した。
 「ビュ〜ン… ガガガガガ…」 新たなコードが接続されオルガは完全なRIMの部品と化してしまったのだった。
 「オルガ、 そこで愛するゴドーが踏み潰される様を記録しなさい」
  ゴドーとレイナ絶体絶命のピンチに1本の剣が飛んできてRIMの足を切断した。 剣が飛んできた先にはロムが腕を組んで立っていた。
  「人は誰でも宇宙を動かせるほど無限の力を秘めている。 しかし、 その力を破壊と殺戮に使う者もいるだろう。 創造に使うか破壊に使うかは、 人に委ねられた最後の選択なのだ。 あらゆる生命の源である光を絶やすまいとする心人それを『愛情』という」
 「な・なにものです!」
 「貴様に名乗る名など無い! とうっ」 ロムはジャンプし、 剣狼を手にし振りかざした「天よ地よ、 火よ水よ、 我に力を与えたまえ。 パイルフォーメーション!」
 ロムの叫びにより剣狼がメタモルフォーゼし1体の巨大ロボット『バイカンフー』が現れた。
  ロムの意思を受け、 剣狼が空中で光となると、 時を超え、 次元を超え、 パイルフォーメーションは完成する。 バイカンフーは地上全てのエネルギーとシンクロし、 自然現象さえも変えるパワーを出すことが可能となるのである。
 「ロム、 オルガを頼む…」
  ゴドーの悲痛な声にバイカンフーの鉄拳がRIMをヒット。
 「RIM、 お前の最後だ! サンダーボルトパンチ!」
  次々と繰り出すパンチ、 そして必殺ゴットハンドスマッシュがRIMの頭部を貫いた。
 「成敗!」
 それと共に大爆発を起こすRIM。 悪に染まった巨大コンピューターの野望は潰え、 部品にされていたオルガは無事バイカンフーの手に握られていた。

 その後 ロムの仲間のシャトルロボにより連絡を受けたギャラクシーポリスによりゴドー達は救助。 ゴドーとサルタは銀河アカデミーの医療センターで治療、 オルガは同施設の工房にて修理されることになった。
  医療センターに運ばれる途中ゴドーにロムは2772と永遠の命が得られると言われる超エネルギー・ハイリビードが同じではないかというこ と。 そしてオルガの記憶より2772の存在を知ったギャンドラーが2772を狙ってく るのではないかと言うことを言って 剣狼の導きによりギャンドラーを追って行った。
  今後2772の探索がかなり厳しいモノになるのではと思うと気が重くなるが、 ロムとの出会 いは心強いモノとなった。


 

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