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漫画版火の鳥2772

「2772」
は漫画の映画化ではありませんが、映画の漫画化は存在します。
  映画のメカニカルデザインを担当した劇画家の御厨さと美さんが描いたその漫画版「2772」は映画公開と同時に朝日ソノラマの「漫画少年」誌に連続して、一ヵ月後別冊として出版されました。
  前半は絵コンテ、後半はシナリオが元になっているといわれるだけに、ストーリーは映画に近いです。いくつかの細かい補正が見られますが(スペース・シャーク号が一台しかない。囚人輸送機にゴドーのほかにも囚人が乗っている。ロックとレナの結婚式を司祭が司式している。ゴドーとブラックジャックの殴り合いの代わりに警備員との撃ち合いがある、など) 、内容は映画とほぼ同じです。
  しかし雰囲気が全く違います。ペースが猛烈で、映画にあったギャグや哲学的な要素がほとんどありません。ファンタジーではなく純粋なSF活劇なのです。
  御厨さんの絵は映画より強く時代を感じさせます。劇画的な太い線や激しい動きが特徴です。巻末の対談に手塚さんは「アメリカン・スタイル」と呼んでいます。確かにグロテスクとリアルを結合したスタイルは西洋の匂いじがして、映画のなめらかなキャラクターデザインとも手塚漫画の丸っこい絵とも異なっています。

   ゴドー は1980年代の活劇ヒーローのイメージ通りに低い鼻と太い眉をしています。映画でいつも制服を着ているので、カウボーイ靴の私服姿が見所です。
   オルガは映画と同じく可憐でしとやかです。ハイライトがついていませんが、そのために体のラインがすっきりしているのではないかと思います。
   火の鳥 は原作よりも濃いまつげをしているので鳥類ではないことがあきらかです。
   ブラックジャックのやせた顔はカリスマ的ですが、服装は不条理にも夜会用のものとして描かれています。
   レナはハリウッド女優のようで、映画に補ってコマごとに違う服を着て現れます。
   一方、軍服姿のロックはさほどかっこよくありません。
   ボルカンは見事に劇画に溶け込んでいます。
   プークスとクラック のデザインも映画と大して変わりません。
   醜くて老いたピンチョはかなりのショックです。
   しかしもっともおどろくべき変貌をしたのはサルタではないでしょうか。この頑丈でずんぐりした身体や賢者のような顔つきは、手塚の分身といわれる従来のサルタとまるで違います。

漫画のコマ数枚


今は珍本になっている漫画版「2772」をくださったオルガマスターさんに深く感謝したいです 。
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