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コスモゾーンとは? 英語訳を見ると、「手塚治虫@ワールド」という公式サイトでも、映画の関連書の多くでも、また1995年にアメリカで出たビデオ版でもコスモゾーンはCosmo Zoneと訳されています。コスモはたしかにcosmo、宇宙という意味です。しかしゾーンを英語のzoneと訳すことには問題があります。 Zoneは地帯、区域という意味なのですが、セリフの中では火の鳥自体を示すように使われています。御厨さんとの対談で手塚さんも同じ使い方をされています。コスモゾーンは、火の鳥であり場所ではありません。 意味をなさない英語は日本アニメ界でめずらしくないけれども、今度は違っていました。コスモゾーンはけっこう理性的な… ギリシア語なのです。 「火の鳥2772大百科」によると、「コスモゾーンとは宇宙生命体と解説されている」(火の鳥2772・愛のコスモゾーン大百科 東京 ケイブンシャ 1980 、 223頁)。手塚さんはzoology (動物学)や protozoa (原生動物)という単語に見られる、「生命」というギリシア語の語根を使ったということになります。科学的な響きがあって、古代への興味と博学がうかがえる「手塚らしい」用語だといえるでしょう。 つまりCosmo Zone は完全な誤訳で、Cosmozoonとするべきでした。この誤訳が当時に訂正されなかったのはとても残念なことです。 2006年5月 |